ぽかぽか、ぽかぽか
お日様が暖かい日はどうしても眠くなっちゃう
お昼休みの中庭なんてもう最高で、この世の至極の極みって感じ
でも、今日ばっかりはそんなこと言ってられません。うぅ…
ひつじ雲
「んー…んぅー」
はたから見たらすごく怪しいだろうな、あたし
お昼ちょっと前から痛みだしたあたしのお腹は、ちっとも治ることを知らない
鳳くんと日吉くんに事情を話してみたら、
「大丈夫?保健室、ついて行こうか?」
って優しい言葉と
「どうせ腹出して寝たんだろ」
と可能性が高くもっともな意見を頂戴した
なので、冷えたなら温めればいいじゃん、と思い立ち、中庭に来た。
ここなら、お日様パワーで温かい芝生の上ならこの痛みを和らげてくれるだろう
と信じて。
お昼休みなかばに訪れると、そこには先客がいた。
「すー…すー…」
規則正しく寝息の音を刻んでいるのは、ジローくんだった
ジローくんのふわふわした金髪がお日様に反射して綺麗だった
そういえば、この間始めて会ったときも寝てたような…
「あれ〜?ちゃん」
「あ、おはよう。ごめんね、起こしちゃった?」
「ううん〜別にEーよ。たまには授業出ないとやばいCー」
えへ、と笑うジローくんはそんじょそこらの女の子よりも数倍は可愛かった
ジローくんは、テニスバッグを枕にして寝ていたらしく、
ジローくんの頭の形だけへこんでいて、
ファスナーのあいた口から教科書やらノートやらが散乱していた
その散らかりようがお兄ちゃんの机を連想させてやっぱり男の子なんだなぁ、と思った
教科書の隅にマジックペンで『二年あくたがわ』と書いてあるのもなんとなく男の子を思わせるもので…
「そ、そうだっ。ジローくん二年生なんだよねっ…あ、な、なんですよね、芥川先輩!」
「うん、そうだよ〜。あれ〜言ってなかったっけ?」
「はい…それで、日吉く…と、友達に聞いて…」
「そうだったんだ〜、別にいいよ」
「あ、許してくれるんですか?ありがとうございます…!」
「そうじゃなくて〜、俺のこと、先輩みたいにしなくていいよ。ジローでいいCー」
「え、でも…」
「君、宍戸の妹なんだってね〜俺、宍戸にはいっぱいお世話になってるから」
そう言いながらジローくんはポッキーをテニスバッグから出して、箱を開いた
中に入っていたもう一袋をあたしに手渡し、笑った
「おいCよ、ミルクチョコ」
「…い、いただきます」
ここで断ったら逆に失礼かも、と思い袋を破くと甘い匂いがあたりに漂う。
ぱく、と一口食べると優しい、ジローくんの雰囲気によく似た味がした
「えへ…、おいしい…」
「でしょでしょ。じゃあ俺の分もあげる」
「え、いいよそんな」
「まだまだ家にいっぱいあんだ〜箱いっぱい」
「え…す、すごいね。」
「うん、ちょっとね〜」
ジローくんは袋を破くと中身をあたしの手のひらにのせてくれた
「ちゃん、ちょっとじっとしてて」
「え…」
ごそごそと鞄の中から携帯を取り出し、こちらに構えられた。
え、と思ったのもつかの間で、シャッター音が響いた
「へへ…撮れた」
「び…びっくりした」
「見て見てー、よく撮れてるよ」
ジローくんから携帯を受け取るとそこには、髪にチョウチョが留まったあたしが写っていた
「かわいいでしょー」
「うん。小さいチョウチョウだね可愛い」
「これ俺の待ち受けにしよっと」
設定をしているのか素早くボタンを押すジローくん
「ちゃんさー、跡部と仲悪いんだ?」
「仲悪いっていうか…」
嫌いなだけ
そう言おうと思ったけれど、さすがにそれはとどめておいた
ジローくんも跡部先輩も二年生だし、部活仲間だし
「跡部はおもしろいやつだよ。俺、幼なじみだからよく知ってる」
「え?ジローくん跡部先輩と幼なじみなの?」
「うん。俺と跡部と樺地と滝はね」
「へぇー…」
「昔からあんな性格だから男子には嫌われてたけどね〜」
「ふーん…」
ポキッと口の中でポッキーを折って食べた
ちら、とジローくんのほうを見るとにこにこしていた
「意地張ってばっかだから誤解されやすいけどね。
あと、女の子がバレンタインにチョコ持ってきても、俺にくれたこともあったなぁ…、
お前甘いものが好きなんだろ?って。
あと、すんげえおもしろい話あるんだよ」
「なに?」
「小さい時にみんなでお昼寝とかすると必ず最初に起きるのは自分でなきゃ気が
済まないみたいでさ〜、たまに俺が先に起きて起こしたりするとハッてして
俺様は二時間前から起きてたぜ?あーん?って言ったんだ、おもしろいでしょ〜」
「あ、跡部先輩が…?」
「そう。天下の跡部はやっぱり小さい頃から天下なんだね〜」
「あ、あはは…!か、可愛い〜」
可愛い…可愛すぎる
嫌いな帝王にもそんな可愛い一面があったんだ
声を上げて笑うにジローはにかっとお日様のような笑みを浮かべた
「俺さー、あんまり難しいことわかんないけどさ、跡部がやろうとしてることは大体解んだ…」
「う、うん…?」
打って変わった態度に、思わずびっくりするが、絶対に聞かなければならないような気がして、手を止めた
「マネージャーを希望してる女の子たちに、大変な課題とかいうやつのを出すのは、試してるんだよ」
「試すって…?」
「跡部は、周りが思ってるよりもずっとテニス部のこと想ってるよ。
でも、ぶきっちょだから、そんな方法でしか…守れないんだろうね。
…でも俺はたまには、外から突然来た女の子を信じてみるのもアリだって…思うけどな〜」
ふわっと笑ったかと思うや否や、ジローはポケットから少しシワシワになった紙を取り出した
それをに渡して、開いてごらん、と目で合図する
が言われた通りに開けば、そこにはがあの日からずっと見たかったものがあった
「これ…っ」
「マネージャー推薦書。後はこっちに俺がちゃんの名前書いて、
ここに俺が自分の名前書けば良いだけだよ」
確認するように見れば見るほど、手が震えた
欲しくて仕方がなかったもの
「…ちゃん。俺は、跡部とは違うよ?」
「えっ…」
黙り込むの顔を心配そうに覗きこむジローに顔を上げると、推薦書を持っていかれた
そして後ろを向いて、筆箱からシャーペンを取り出す
「俺も、テニス部のことは大切に想ってるからね。俺は俺なりのやり方でちゃんを見るよ。
うちの部でどんなことをしてくれるんだろ〜って今から楽しみ」
再びの方へ向き直ると、その手に紙を握らせた
「これからも友だちでいてね、ちゃん」
そう言って、またお日様みたいな笑顔を向けてくれたジローくん
氷帝学園中等部テニス部準レギュラー所属二年あくたがわじろうは、
一年宍戸百合へのマネージャー推薦を致します
一枚目の推薦書
くれたのは、可愛い男の子だった
そして、彼はもひとつおまけしてくれた
友だちでいてねっていう約束を
あとがき
ジロー編終了です。
割と軽かったですね。宍戸妹への枷が。
でも、ジロちゃんは、跡部と違ってテニス部に入ってから見させてもらうよ〜みたいな感じなので
ある意味ブラック…?
っつか、宍戸妹は腹痛大丈夫なんですかね?(私が聞くな)
跡部の子供の頃の小話
自分では割と気に入ってます。小さい頃からあーん?が口癖だったら可愛いなぁー、と。
そして、跡部、ジロー、樺地、滝が幼馴染な設定はかなり妄想入ってます。
みんな仲良さそうだC−v
次は樺地と並行しつつがっくん進めまっす